
熊本もいよいよ梅雨入り。じめじめとした湿気が気になる季節です。
この時期、よくお客様からいただくご質問があります。
「お風呂を使ったあと、ドアは開けておいた方がいいんですか?」
実は、工務店としての正しい答えは『浴室ドアは、使用後は閉めておくのが正解』です。
今回はその理由と、湿気対策として本当に効果的な方法について詳しく解説します。
なぜ「浴室のドアは閉めておく」のが正解なのか?
1. 湿気を家中に広げないため
お風呂を使用した後、ユニットバスのドアを開けておくと、浴室内の湿気が脱衣所や廊下、さらには家全体に広がる可能性があります。
特に熊本のように湿度の高い地域では、室内に湿気を取り込むこと自体がカビや結露のリスクに直結します。室内へのカビ発生ならまだしも、防湿フィルムが施工されていない場合には、湿気が壁の中にまで侵入し、壁体内結露といって、家の柱などを腐らせていく可能性があります。
壁体内結露は、外壁通気工法であればそのまま通気層から屋外へ排出される仕組みではありますが、過信はできません。
ドアを開けたままにして湿気が室内に充満したときのリスク
- 脱衣所の壁紙にカビが生えやすくなる
- 木製建具が湿気で劣化する
- 家全体の調湿バランスが崩れる
- 冷房や除湿器の負担が増える(電気代もアップ)
つまり、「浴室を早く乾かしたいからドアを開ける」という発想が、結果的に家全体の湿気トラブルを引き起こすことにつながります。
2. 正しい換気は「密閉+排気」が基本
もちろん、ユニットバス内のカビも怖いですよね。わたしは毎日お風呂をでるときに、山崎実業さんの「マグネット水切りワイパー」をするようにしています。その上で、ユニットバスを締め切って、浴室換気扇で残った湿気を排出しています。
そもそも、浴室ドアを開けておく人は、浴室換気扇をイマイチ信頼しきれないのだと思います。なにを隠そう、この業界にはいるまでの私がそうでしたから。
いまどきのユニットバスはドアを閉めて換気をすることで湿気を排出するように設計されています。浴室ドアにはガラリという脱衣室の空気を浴室に取り入れる仕組みがあります。浴室換気扇を作動させると、そこから空気がユニットバスに流入し、効率よく換気扇から屋外へ湿気が排出される仕組みです。

引用元:Panasonic「スキットドア上部の換気口は何のためにあるのですか。(スキットドアに関して)」

ドアを開けたままだと空気の流れが乱れ、換気効率が低下してしまいますよ!
密閉空間にしておくことで、換気扇が理想的な空気の流れを作ることができ、浴室内の湿気を外に排出できます。
ガラリがない浴室ドアの場合
ガラリなどの空気流入口がない浴室ドアの場合、ほんのすこしだけ浴室ドアを開けて、浴室換気扇をまわすことで、効率よく湿気を排出できるようになります。(あくまでも、「ほんのすこしだけ」ですよ!)
※デザイン上、空気流入口を上手に隠しているものがあります。外観で判断せず、取扱説明書をご確認ください。

ユニットバスの浴室乾燥機(換気扇)
換気扇はどう使うのがベスト?
入浴中は結露を防止するため、停止するのがベスト。では、電気代は・・・?
基本的には結露を防止するために24時間換気しましょう。空気が滞留するのがカビにはいちばん良くないですので、常に空気を循環させる環境づくりが肝心です。
しかし・・・
そうなると気になってくるのが、電気代。
電気代の計算式
「消費電力(Kw)×使用時間(h)×料金単価(円/Kwh)」
料金単価を公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が目安としている31円/Kwhとして計算していくと、以下のようになります。
【消費電力1.9ワットの天井埋め込み形換気扇】
0.0019キロワット×24時間×31円/キロワットアワー=約1.4円
24時間つけっぱなしにしていても、1日あたりの電気代は約1.4円なので、1ヶ月(30日)に換算すると約42円で済みます。

引用:当社で使用している浴室換気扇のカタログ性能値(Panasonic)
結露水の除去・フィルター掃除も忘れずに!
主に冬季に問題になることですが、入浴中に換気扇を作動させると、温度差が生じ浴室内に結露が発生しやすくなります。換気扇が結露してしまうと故障の原因になりかねません。色付きの入浴剤を使ったときなど、換気扇から色付きの結露水がしたたり落ちてくることもあります。
換気扇の結露水はこまめに除去するのと、冬季は結露防止の観点から、入浴中の換気扇は停止させることをおすすめします。
また浴室換気扇にホコリがたまっていると、風量が落ちて排気能力も低下します。

梅雨入り前には一度換気扇フィルターの点検・清掃をしましょう。
まとめ 工務店が提案する、正しい浴室の湿気対策
湿気の多い熊本で、浴室まわりのカビや劣化を防ぐためには、以下のような習慣が効果的です。
入浴後はすぐに換気扇を回し、ドアは閉める
→ 湿気を効率よく排出できます。
浴室内の水滴を拭き取る
→ 壁や床をタオルやワイパー(スクイジー)でさっと拭くだけでも、乾燥スピードが大きく向上します。
定期的に換気扇の点検・清掃を行う
→ フィルターやファンの汚れを落とすことで、換気性能が安定します。
浴室の扉やパッキンの劣化もチェック
→ 湿気が漏れやすくなっていないか、専門業者による点検がおすすめです。
まとめ:浴室のドアは「閉めて」、換気を最大限に活かす!
熊本の梅雨は湿度が非常に高く、家全体に湿気がこもりやすい時期です。
そんなときこそ「浴室ドアは閉める」+「浴室換気扇を正しく使う」が湿気対策の基本です。
お風呂の湿気を外に逃がすためにドアを開ける、というのは一見合理的に思えますが、住宅の構造や換気システムを理解した上での判断が大切です。
お住まいに合った湿気対策をご提案します
「うちの換気システムだとどうすればいい?」「最近、脱衣所がジメジメする…」
そんなお悩みがあれば、お気軽に当社までご相談ください。
家づくりのプロとして、地域の気候と住まいに合った対策をご提案いたします。
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