
花ブロックって何?
沖縄を旅した際、住宅の塀やバルコニーに白い幾何学模様の壁があるのを見たことはありませんか? それこそが花ブロックです。沖縄出張の際にはじめて見たとき、「外の世界と敷地をゆるやかにつなぐ、沖縄らしい考え方の外構だ」と感じました。
なお、花ブロックとは、幾何学的な模様の抜き穴が施された、コンクリート製の透かしブロックのことです。幾何学模様のブロックを積んでいくと、まるで織物のような美しい壁面に仕上がります。

なお、花という名前ですが、花の形をしているわけではありません。
どうして「花」ブロックっていうの?
花ブロックって、いわゆるお花の形をしていません。ではなぜ「花」ブロックなのでしょうか。
それは、植物の花の形ではなく、沖縄伝統の「花織(はなうい)」の幾何学模様(パターン)を由来とする…という説があります。花織とは、沖縄の伝統工芸品でよくみられる図柄・パターンとなります。

花ブロックは単なる装飾品ではありません!そこには、戦後沖縄の復興を支えた知恵と、亜熱帯気候という過酷な自然環境に適応するための機能美が詰まっているものです。

花ブロック
もともとは戦後の沖縄で生まれたこの建材が、なぜ今、熊本の住宅シーンでも求められているのでしょうか。
視線は遮るが、気配は通す。
直射日光を遮るが、明るさは取り込む。
風は通すが、強風は和らげる。
この絶妙なバランスこそが、花ブロックが「機能するアート」と呼ばれる所以です。
熊本特有の蒸し暑さは、花ブロックの機能性が活かされる
熊本の夏は、全国的にも有名な「盆地特有の蒸し暑さ」が特徴です。通常のブロック塀で囲ってしまうと、庭に熱気がたまり、エアコンの効率も悪くなります。
花ブロックを外構に取り入れることで、適度に風を逃がし、敷地内の空気を循環させることができます。これは、庭の植栽を健やかに保ち、カビや苔の発生を抑えることにもつながります。

目次
花ブロックがもたらす3つの機能的メリット
「おしゃれだから」という理由だけで選んでも後悔はしませんが、その機能を理解していれば、より効果的な配置が可能になります。また、配置を考えるにあたっては、南国らしいテイストを取り入れるため、ソテツなどと一緒に配置するのも良いアイデアと思います。
芸術的な「シャドウ・コントロール」
太陽の光が花ブロックを通り抜けるとき、地面や壁には美しい幾何学模様の影が落ちます。
朝、昼、夕方と、太陽の動きに合わせて影の形が伸び縮みし、家全体が大きな日時計のように時間を刻みます。夜になれば、室内からの光が漏れ出し、外構がランタンのように美しく浮かび上がります。

現代版「ヒンプン」としてのプライバシー保護
沖縄の伝統的な民家には、門の内側に「ヒンプン」と呼ばれる目隠し壁があります。これは、通りからの視線を遮りつつ、家の中に幸運を招き、魔物(マジムン)を追い払う境界線としての役割がありました。
花ブロックは、このヒンプンの役割を現代的に果たします。 「完全に見えない」のではなく、「何となく人の気配はわかるが、具体的な動きは見えない」という安心感。この「透けているが見えにくい」特性は、隣地との距離が近い住宅密集地において、閉塞感を与えずにプライバシーを守る最高の手段となります。
圧倒的な耐久性と防災力
木製のフェンスや樹脂製のパネルは、10〜15年もすれば劣化や色褪せが目立ちますが、コンクリート製である花ブロックは非常に長持ちです。台風の突風で飛ばされる心配もなく、火災にも強いため、大切な住まいの防波堤となってくれます。

花ブロックの歴史:復興のシンボルからデザインの主役へ
花ブロックの背景を知ると、そのデザイン一つひとつに込められた意味がより深く理解できます。
戦後沖縄の苦難とコンクリートの導入
1945年の沖縄戦により、沖縄の伝統的な木造建築はほとんどが失われました。戦後の深刻な資材不足の中、追い打ちをかけるように毎年強力な台風が襲い、仮設の家々はなぎ倒されました。また、亜熱帯特有の湿気とシロアリによる被害も、木造住宅にとっては致命的でした。
そこで、当時の米軍基地建設のために持ち込まれたのが「コンクリートブロック(CB)」の技術です。 1948年、米軍が持ち込んだブロック製造機を見た沖縄の人々は、「これこそが台風とシロアリに強い、沖縄の理想の家を作る材料だ」と直感しました。
建築家・仲座久雄氏の創意工夫
しかし、単なる四角いブロックを積み上げるだけでは、風が通らず、熱がこもる「暑い箱」になってしまいます。ここで登場するのが、建築家の仲座久雄(なかざ ひさお)氏です。
建築家「仲座久雄」の功績
仲座久雄は戦前、戦中、戦後に亘って沖縄で建築活動した数少ない建築家の一人であり、終戦直後から最前線で復興工事に携わり、その後、沖縄建築士会初代会長を務めた。
沖縄建築士会では仲座を「コンクリートやブロックの新しい材料を取り入れ現代建築を沖縄に根づかせた最初の建築家」と位置付けており、戦後初期沖縄建築界の先駆的人物である。
1962年に他界するまで公共施設や住宅を初め多数の建築を設計したが、その建築活動期間は戦後の建材が乏しい時期から、鉄筋コンクリート造(以下、RC造)や補強コンクリートブロック造(以下、CB造)の施工基盤が整い始めた近代化への転換期に当たっている。
花ブロックの誕生
仲座氏は、ブロックに幾何学的な穴を開けることで、「強度を保ちつつ、風を通し、日差しを遮る」という画期的なアイデアを生み出しました。これが「花ブロック」の誕生です。
彼は伝統的な琉球建築の美意識を、現代的なコンクリートという素材に見事に融合させたのです。

カリフォルニア・モダニズムとの不思議な縁
興味深いことに、同時期の1950年代、アメリカのカリフォルニアやパームスプリングスでも「ブリーズブロック(Breeze Block)」という同様の建材が流行していました。ミッドセンチュリー・モダンの象徴的なアイテムとして、今でも世界中の建築ファンに愛されています。
沖縄の花ブロックは、米軍経由でもたらされたアメリカのモダンデザインと、沖縄の風土的必要性が幸福な出会いを果たして生まれた、和洋折衷ならぬ「沖米折衷」のハイブリッド建材なのです。

花ブロックを活かしたデザインアイデア帖
せっかく花ブロックを使うなら、その魅力を最大限に引き出すデザインを考えましょう。
リゾート感を高める「ドライガーデン」との相性
花ブロックの白、そして青い空。これに合わせるなら、アガベ、ユッカ、ソテツといったドライガーデンの植物が最適です。熊本の強い日差しを浴びる花ブロックの前にこれらの植物を配置するだけで、そこはもう西海岸や沖縄のリゾート地のような空間に変わります。
空間を切り取る「アクセントウォール」
壁全体を花ブロックにするとコストも高くなり、威圧感が出ることもあります。おすすめは、門柱の一部や、テラスの片側だけに「額縁」のように取り入れる手法です。視線が抜ける場所を作ることで、奥行き感のある外構になります。
劇的な変化を生む「ライティング」
花ブロックの真骨頂は夜にあります。 ブロックの足元からアッパーライトで照らしたり、背後に照明を仕込んだりすることで、昼間とは全く違うの多い場所では、穴の中に苔が生えることがあります。高圧洗浄機で半年に一度程度洗うのが理想です。
品質な外装塗料や撥水剤で仕上げることを強くおすすめします。
熊本で花ブロックの家を建てるということ
花ブロックは、単なる「流行りの建材」ではありません。
それは、沖縄の厳しい自然と向き合ってきた人々の知恵が詰まった、「光と風をデザインする装置」です。熊本という、夏は暑く冬は冷え込むこの地において、花ブロックを正しく使いこなすことは、暮らしの質を劇的に向上させることにつながります。
「どのデザインが我が家に合うか分からない」「凍害が心配だけど使ってみたい」 そんな不安や疑問をお持ちの方は、ぜひ一度、私たちヨカイエ株式会社にご相談ください。※当社ショールームにも花ブロックが使用されていますので、実物をご覧いただけます。
地元の気候を知り、数々の施工実績を持つプロとして、あなたのご自宅に最適な「光と風の道」をご提案させていただきます。



コメント