マイホームを計画する際、間取りやキッチン、外観のデザインに胸を躍らせる方は多いはず。しかし、平穏な暮らしを足元から支える「構造体」を、知らず知らずのうちに破壊してしまう驚異が存在していることを忘れてはいけません。

そう!「シロアリ(白蟻)」ですね。
「うちはベタ基礎だから大丈夫だよ!」
「最近の家はシロアリに強いんでしょ?」
もし、あなたがそう思っているなら、少しだけ!ほんの少し立ち止まって、このブログを読んでください。
今回は、「シロアリの本当の怖さ」から、最強の防御陣形である「薬剤・非薬剤のハイブリッド対策」、そして熊本という地域の特殊性まで、住宅のプロとして徹底的に解説します。

目次
姿なき解体屋”シロアリ”が「地震より怖い」とまで言われる理由
日本の木造住宅において、家を腐らせる「腐朽菌」と並び、最大の脅威とされるのがシロアリによる食害です。 特に熊本に多く生息する「イエシロアリ」は、世界最強クラスの加害力を持つことで知られています。
1つのコロニー(巣)に100万匹以上の個体が生息し、彼らが活動を始めると、わずか数ヶ月で柱の中がスカスカになります。恐ろしいのは、外見からは全く被害が分からないことです。表面の薄皮一枚を残して中だけを食べるため、気づいた時には「指で押すと柱が凹む」「地震の際に家が真っ先に倒壊する」といった致命的な状態に陥っているのです!
「火災保険」は守ってくれない!?
意外と知られていないのが、シロアリ被害は火災保険の対象外だということです。 火災や震災は突発的な事故として扱われますが、シロアリ被害は「経年劣化」や「管理不足」とみなされるため、数百万にのぼる修繕費用はすべて自己負担となります。
まさに、シロアリ対策は「家を建てる時のコスト」ではなく、「資産価値を守るための投資」なのです。

「ベタ基礎なら安心」という神話の崩壊
最近の住宅基礎では、シロアリ食害のリスクが高い布基礎(=床下が地面むきだし)ではなく、基礎部全体をコンクリートで固めるべた基礎になりましたので、昔よりはシロアリリスクもかなり減りました。それでも、シロアリの食害はゼロにはなるわけではありませんので、防蟻処理はしっかり施しています。
これで土壌からはシロアリは上がってこれないぞ!というのが、油断の元となります。
0.6mmの隙間があれば侵入できる!
シロアリは、わずか0.6mm程度の隙間があれば、そこを突破して建物内に侵入します。 ベタ基礎であっても、以下のような「死角」が必ず存在します。
打ち継ぎ目(コールドジョイント): 基礎の底面と立ち上がり部分を別々に打設する際、その境界に目に見えない微細な隙間ができます。
配管の貫通部: 水道管やガス管が基礎を貫通する部分は、コンクリートと管の間に隙間が生じやすく、格好の侵入ルートになります。
セパレーターの跡: 型枠を固定する金具(セパレーター)が錆びて朽ちた後、そこが「シロアリの高速道路」に変わります。
つまり、「物理的な構造(基礎)だけでシロアリを100%防ぐのは不可能」というのが、私たちプロの共通認識です。

土台の守護神「ヒノキ」の役割
シロアリ対策の第一歩は、彼らが「嫌う」材料を構造の一部に組み込むことです。 ヨカイエでは、住宅の最重要部位である「土台」に、古くからヒノキ(檜)を採用することを推奨しています。
なぜヒノキなのか?
ヒノキには、シロアリを寄せ付けない天然の防御成分「フィトンチッド(ヒノキチオールなど)」が豊富に含まれています。 報告書でも、ヒノキは防蟻性が高い樹種として高く評価されています。
天然の忌避効果: シロアリにとって、ヒノキの香りは猛毒に近い拒絶反応を引き起こします。
耐久性と調湿性: ヒノキは湿気に強く、腐りにくい性質を持っています。シロアリは湿った木を好むため、「乾燥状態を保ちやすいヒノキ」は二重の意味で防御力を高めます。
ただし、注意が必要です。ヒノキであれば100%食べられないわけではありません。彼らが非常に飢えている場合や、成分が揮発した古い木材であれば、ヒノキであっても加害されるリスクはあります。 だからこそ、「強い木材」+「専門的な防蟻処理」の掛け合わせが必要なのです。

薬剤系アプローチ:最新の「ドミノ効果」で巣ごと絶つ
当社では、基礎のコンクリートを打つ前に、土壌への防蟻処理(ケミプロ化成製・アルトリセット200SC)を行っております。土壌処理が終わると、基礎全体をビニールで被覆し、防蟻剤の蒸発を防ぎます。
また、建物構造体には地盤面より1mまでの部分まで防蟻処理(ケミプロ化成製・ケミプロオプティガード20EC)を施しています。

遅行性の薬剤で、女王アリまでも全滅させる優れた薬剤
ヨカイエが採用する最新薬剤(ネオニコチノイド系など)には、「非忌避性」と「遅効性」という2つの魔法のような特徴があります。
気づかずに触れさせる(非忌避性): シロアリは薬剤を「嫌なもの」と認識せず、普通にその上を通ります。
生きて巣に持ち帰らせる(遅効性): 薬剤に触れてもすぐには死にません。体に薬剤をつけたまま巣に戻り、仲間と触れ合うことで薬剤を次々と伝播させます。
これにより、直接薬剤を撒いていない巣の深部にいる女王アリまで全滅させる、いわゆる「ドミノ効果」が可能になったのです。

なぜ「5年」ごとに再施工が必要なのか?
お客様からよく「一度塗ったら一生もたないの?」というご質問をいただきます。 結論から申し上げますと、現代の薬剤は、あえて「5年で分解される」ように設計されています。
かつて使われていた薬剤(クロルデンなど)は、一度撒けば数十年効果が持続しましたが、その分、土壌を汚染し続け、人体にも悪影響を及ぼすリスクがありました。 現在の認定薬剤は、環境負荷を最小限に抑えるため、微生物によって自然に分解されるようになっています。その「安全圏の限界」が5年なのです。
5年ごとのメンテナンスは、家への健康診断であり、家族の健康を守るための約束事でもあります。

基礎パッキンで、床下空間を常に乾燥状態に保てる!
シロアリが最も好む環境は「暗い、湿っている、空気が淀んでいる」場所です。 かつての床下換気口に代わり、現在は基礎と土台の間にあえて隙間を作る「基礎パッキン工法」が主流です。この隙間を使って床下空間の通風を確保しつつ、かつシロアリが侵入しづらい特殊構造になっています。(当社は、基礎パッキンは「城東テクノ」様のものを採用しております。)
これにより、床下全体の通風を確保し、木材を常に乾燥状態に保つことができます。 「物理的に住みにくい環境を作る」ことは、薬剤以上の防御力を発揮します。
乾燥に強いシロアリもいます!
ただし、木材への食害をおよぼすシロアリのなかでも、乾燥したところにでも営巣できるイエシロアリはこれでも防ぐことはできないことに注意が必要です。
ホウ酸処理という選択肢
もう一つの注目が、天然鉱物である「ホウ酸」を使った処理です。 ホウ酸は揮発しないため空気を汚さず、腎臓を持つ哺乳類(人間やペット)には安全ですが、シロアリには猛毒として作用します。 水に溶けやすいという弱点はありますが、雨漏りのない乾燥した場所であれば、その効果は半永久的に持続します。

熊本は「シロアリ激戦区」であるという事実
ここ熊本において、シロアリ対策は他県以上にシビアです。
熊本には、日本に生息する主要なシロアリ3種すべてが潜んでいるからです。
| 種類 | 特徴 | 熊本での生息域 |
| ヤマトシロアリ | 日本中に生息。湿った場所を好む。 | 県内全域 |
| イエシロアリ | 最強の破壊力。 乾いた木も湿らせて食べる。 | 熊本市西区・東区、八代市など |
| アメリカカンザイシロアリ | 外来種。空から飛来し、乾燥した木をどこでも食べる。 | 合志市、宇城市、玉名市など点在 |
特に注意が必要なのが、近年被害が増えているアメリカカンザイシロアリです。
彼らは地面からではなく、屋根や窓の隙間から「空を飛んで」侵入します。これまでの「床下だけの対策」では防げないため、ヨカイエでは小屋裏(屋根裏)の点検や、新築時の構造材への配慮についても、地域の特性に合わせたご提案を行っています。

資産を守るための「正しい知識」を
いかがでしたでしょうか。 シロアリ対策は、単に「薬を撒くこと」で済むものではありません。ベタ基礎なら安心なんてこともありません。たった1つのアプローチで簡単に防げるような、単純ではない難しい課題だということです。
構造(ベタ基礎の弱点を知る)
材料(ヒノキなどの強い木を選ぶ)
仕組み(5年ごとの薬剤メンテナンス)
環境(換気による乾燥状態の維持)
これらをトータルで組み合わせることで初めて、あなたの家は100年続く資産になります。
ヨカイエは、熊本の地で「長く、美しく、安心して暮らせる家」を建てるプロフェッショナルです。 もし、今の家の床下が心配な方や、これから建てる家の防蟻対策についてもっと詳しく知りたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
「見えない敵」から家を守ることは、家族の未来を守ることと同じですから。



コメント