24時間換気システムってどうして必要?窓開け換気をしたいなら気を付けたいポイント!

24時間換気システムが要らない、自然な家を作りたい。

…とおっしゃるお客様と、以前お会いしたことがあります。

 

残念ながら建築基準法上の義務ですので、そもそも24時間換気システムが設計図に入っていなければ、建築確認申請(行政による建築許可手続き)を通せませんし、換気システムを止めることも、健康上の問題から推奨できません。室内に発生する汚染物質を排出するためには、換気はとても重要なことだからです。

 

 

窓開け換気をしたい場合の、窓の配置について

大昔の家のように、すきま風吹き込むようなスキマだらけの家であれば、内外の温度差・気圧差によって勝手に空気が入れ替わるのでしょうけど、現代建築では気密性を高めた省エネな住宅になっていますので、換気しなければシックハウス症候群などの原因になってしまいます。

どうしても自然の風で換気をしたいという場合は、窓の設置場所を工夫する必要があります。広範囲に換気するためのポイントは、窓を対角線上に配置すること。そして換気時には、その2カ所の窓を同時に開けることです。

窓と窓の間隔が短かかったり、そもそも窓が1つしかなかったりすると、窓周辺の空気しか入れ替わらなくなります。窓開け換気をするのであれば、2方向の壁に窓を作りましょう。

 

窓開け換気のデメリット

風の吹く向きに左右されるため、窓の正面から風がはいる状況でなければ、換気効率が半減することは認識しておく必要があります。

また換気システムと違って、給気フィルターなどは通らないため、屋外の有害物質(粉塵、花粉、PM2.5、排気ガス)がフリーパースで室内に侵入する危険性があることも認識する必要があります。

窓を開けておくことは、セキュリティ上の問題もはらみます。人が通れるサイズの窓を全開にしておくなどは強盗の侵入を許すことにもなり、大変危険です。構造上大きく開けない滑り出し窓をうまく使うといいでしょう。

 

室内で発生する代表的な汚染物質

二酸化炭素

人が生活する上で呼吸をすることで発生する二酸化炭素も、一定濃度を超えれば有毒となります。一般的な許容濃度は0.1%(1000ppm)と言われていますが、4~5%を超えると危険だと言われています。濃度が増加すれば、頭痛・めまい・吐き気、集中力の低下、睡眠障害などの原因となります。

一酸化炭素

調理時にコンロや石油ストーブ、ファンヒーターを使ったときなどに、不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が充満し、酸素濃度が低下することがあります。一酸化炭素の許容濃度は0.001%(10ppm)と、かなり低く定められています。

揮発性有機化合物(VOC)

建材や接着剤などに含まれるホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物は、シックハウス症候群を引き起こすことが社会的に大問題となりました。目や喉の痛み、頭痛、めまい、皮膚炎などを引き起こし、最も問題視されているホルムアルデヒドの許容濃度は0.1mg/m3(30分間平均値)となっています。

 

…その他、室内に持ち込まれた細菌・ウイルスや、粉塵、カビなども、換気システムがあれば排出できます。

 

建築基準法上の規定について

2003年7月1日に改訂された建築基準法にて24時間換気の義務づけがなされたわけですが、どのように規定されているのでしょうか。建築基準法では、下記の式によって計算した必要換気量以上の換気設備が必要です。

 

必要換気量〈m3/h〉=下表の換気回数〈回/h〉×居室の床面積〈m2〉×天井高さ〈m〉

 

居室の種類換気回数
住居の居室等0.5回/h以上
上記以外(非居住等)0.3回/h以上

 

一般住宅では、1時間に0.5回換気しなければならない、とありますので、すなわち2時間に1回、家全体の空気がすべて入れ替わるようにしなければならない、ということです。

なお、ユニットバスのように専用の換気扇がついている部屋は、24時間換気対象の気積からは抜くことができます。(このように、24時間換気とは切り離された、独立した換気扇を「局所換気」といいます。)

 

Panasonicホームページより引用

Panasonicホームページより引用

換気扇には、機種ごとに1時間あたりの換気能力がカタログなどを見ると記載されています。同じ機種でも60Hz地域と50Hz地域で換気能力が異なることが分かります。

なお、建築基準法での換気量は、ダクトや屋外フード等の圧力損失を考慮した有効換気量の算出が必要です。

 

 

 

 

換気扇にはダクト式とダクトレスがある

換気扇にはダクト式とダクトレス(壁付け式)の2通りがあります。

換気扇能力がフルに使えるのはダクトレス(壁付け式)となります。ダクト式ですと、そのダクト長さによって損失が発生します。(確認申請時に換気計算をする際には、右のような表をもとに換気風量を読み取る形になります。)

 

 

 

24時間換気システムの必要性をご理解いただけたでしょうか。オフにすれば電気代はすこしばかり浮くかもしれませんが、安全かつ確実に空気を入れ換え、家族が長く健康に過ごせる環境を維持するためにも、常時オンでお過ごしいただければと思います。

 

ではでは!

主にYoutubeのための動画作成やチラシ作り、Webサイト作成をはじめとした広報活動や、総務事務全般を担当いたします。動画作成やパソコン・ネットワーク・AV関係が得意分野ですので、なんでも聞いてくださいね。

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