断熱材は住宅性能を左右する大事な部材。そのため、施主さまにも関心が高い建材で、施主さま自らこだわって、断熱材の種類を指定してこられる人がいるほどなんです。

 

断熱性能が高ければ、冷暖房で作り出した空気が屋外に逃げていきづらくなるので、年間の電気代も安くなります。

 

ヨカイエの断熱仕様について

 

  • 外壁はセルローズファイバー
  • 小屋裏には現場発泡硬質ウレタンフォーム(フォームライトSL-100)
  • 1F剛床下は押出式ポリスチレンフォーム

 

を使用しておりますが、今回はそのなかでも外壁に使用されるセルローズファイバーにスポットをあてて、紹介してみたいと思います。

 

目次

 

 

最強断熱材というものの、熱伝導率でみれば・・・

 

セルローズファイバーは巷では、最強の断熱材なんて呼ばれることもありますが、じつのところ、断熱材の性能指標である熱伝導率は0.04W/m・kと、ロックウールやグラスウール、硬質ウレタンフォームと比較したとき、さほど優位性はありません(下表参照)。この熱伝導率は、低いほど熱が伝わりづらく、すなわち断熱性能が優れているということになります。

 

熱伝導率[W/mK]

厚さ1mの板の両端に1℃の温度差がある時、その板の1平方メートルを通して、1秒間に流れる熱量をいいます。

 

断熱材による熱伝導率の違い

 

材料、材質 熱伝導率
(W/mK)
セルローズファイバー 0.040
住宅用ロックウール断熱材 0.038
住宅用グラスウール断熱材16k 0.045
硬質ウレタンフォームA種3 0.040
空気(20度) 0.0257
ガラス 0.55~0.75
コンクリート 1.6
370

 

熱伝導と熱貫流率、どう違うの?

 

ちなみに住宅建材の断熱性能を比べるときに、熱伝導率と熱貫流率の2つの指標があって、わりと混同されている方が多く見受けられますが、純粋な単位面積あたりの断熱性能は、熱伝導率で比べることになります。熱貫流率というのは、その素材の厚みまでを加味したときの数値になります。

 

じつは空気の断熱性能はとても優れていたりします。ですから、断熱材のほとんどは、その素材中にごく小さな静止空気を多数含ませることで、断熱効果を生み出しているのです。静止空気、というのがポイントで、空気は静止さえしていれば断熱効果は高いものの、空気は移動すると対流効果で熱を伝えてしまいます。

 

ですので、断熱材は対流効果がおきないよう、空気層が動かないようにみっちり閉じ込めるような構造を形作っているわけです。

 

 

セルローズファイバーの持つ機能性の数々

 

では、熱伝導率で特に優れているわけではないセルローズファイバーがどうして最強断熱材と呼ばれるかといえば、その機能面にあります。防音、防虫、防湿、難燃性といった、断熱効果以外の優れた特性があるからなのです。

 

セルローズファイバーは新聞古紙から作られているため、燃えやすいと思われがちですが、ホウ素系溶剤を添加してあるため他の断熱材に比べて突出した難燃性を発揮します。バーナーであぶったところで火はつきません。

 

上ののぼり旗(メーカーさんにもらいました!)にも書いてあるとおり、新聞古紙を用いたリサイクル建材であるというところも、サステナブル(人間・社会・地球環境の持続可能な発展を目指す考え方)な社会を作っていかなければならないこの時代では、大事な要素であると思っています。

 

 

防音性にも機能を発揮するセルローズファイバー

 

防音面でもセルローズファイバーは優れており、木質繊維のなかにたくさん空気胞がありますので高い吸音性を発揮します。

 

上の実験ボックスは壁にセルローズファイバーがつまっているのを小さな箱で再現しているわけですが、この中に防犯ブザーをならして放り込んで、その上からセルローズファイバーで作られたクッションで覆うと、ほぼ無音になるので、みなさんびっくりされます。

 

 

施工現場の様子

 

ここから、おまたせしました、施工現場をご紹介いたします!まずは断熱材施工業者さんの作業車の様子です。

 

このようにセルローズファイバーは箱状に固められて現場搬入されますので、作業車内で手でほぐしながら、撹拌機に投入していきます。

 

 

撹拌しつつ、ブロワーの風圧で室内側ホースに送り込みます。

 

 

室内側ホースに送られたセルローズファイバーは、事前に壁に施工した不織布のところどころに穴をあけて、壁内に送り込みます。柱の間105mmいっぱいに、それこそパンパンになるまで吹き込みます。グラスウール断熱材では、湿気を吸って断熱材が脱落し、断熱欠損が起きるケースがあるんですが、セルローズファイバーは壁の中にパンパンに吹き込むのでその心配は少ないかと思われます。

 

壁がふくらんで来るので、大工さんは石膏ボードが留め付けにくいほどだと言われていました。(壁を抑えつけながら釘を打たなければならない)

 

 

壁の不織布のところどころにホースを突っ込むための穴をあけるため、充填後はこのようなウールを使って穴をふさぐことになります。施工業者さんいわく、天然素材を使っているのはウチのこだわりだということでした。

 

 

いかがでしたでしょうか。ヨカイエがこだわりを持ってオススメするセルローズファイバーに、すこしでも魅力を感じてもらえたらいいなあと思います。